アルミ製強化サスペンション メンバーブレース制作のご紹介
こんにちは、広川熔工の溶接チームです。
緊急事態宣言の発令に伴い、ここ広島でも自宅での自粛生活が続いています。
出掛けることが出来ず、やることがなくなってきたので以前より計画していた自主制作に着手してみました。
アルミ製品の溶接をお探しの方やご検討されている方にぜひご紹介したいと思い紹介させていただきます。
アルミ製のメンバーブレースを作り、強度を強くする
こちらは「メンバーブレース」と呼ばれる自動車のパーツになります。
車が好きな方はご存知だと思いますが、主にT社やL社のグレードの高い車種に付いている「ブレース」と言われるボディを補強する役割のパーツです。
このメンバーブレースは薄い鉄板をプレス加工して形成されているため強度が弱いのですが、今回これをより強度の高い素材を使って作り直してみました。
テーマは軽く、薄く、強く!
素材はもちろんこの3つを兼ね備えたアルミニウムを使用しました。
■アルミ板の代表格A5052
アルミニウムが工業製品に多く利用されはじめたのは航空機の軽量化を目的としていたことからも分かるように、軽さがアルミニウムの大きな特徴です。
A5052はアルミニウムにマグネシウムなどを添加したアルミニウム合金です。耐食性、成形性、溶接性、加工性に優れているため、当社でも使用頻度が高い素材です。
強度を高めるそろばん型
強度を上げるとなると中空(パイプ形状)が一番ですが、既製品には理想の寸法がないため1から考えるしかありませんでした。
色々と考えた結果、このそろばん型を採用することになりました。
純正品は厚さが15mmですが、この形状を採用することで11mmまで薄くすることに成功しました。
図面を考える
今回は自主制作のため手作り感満載ですが、自分の頭で考えて作り出す作業はものづくりの醍醐味でもあり、とても楽しいです。
仕事の休憩時間や休みを使って製作したのですが、休みも夢中で溶接してしまっていました💦
アルミのパーツを溶接
まず、両端を曲げた2枚の板を仮付けします。
全周本付けし、R形状に仕上げていきます。
それぞれのパーツを溶接し、穴を開けたら完成です!
溶接部のアップ
溶接部のアップはこのような感じになっています。仕上げも美しく出来て納得のいくものになりました。
今回は純正品の重量に対して75%までしか軽量化が出来ませんでしたが、安全性を重視して強度強化で幅を広くしたので仕方ないかと思います。
同じ要領で他のパーツを制作
ついでに同じ要領で他のパーツもアルミ製に作り変えたり、新しく作ってみました。
アルミ製に作り変えたパーツ
アルミ製に作り変えたパーツ①
アルミ製に作り変えたパーツ②
アルミ製に作り変えたパーツ③
新しく作ったパーツ
新しく製作したパーツ①
新しく製作したパーツ②
自主制作を終えて
溶接を専門に長くこの仕事を続けてきましたが、やはりものづくりはとても楽しいです。
この製品は通常業務ではなく、溶接技術の向上と研究を目指した自主制作です。
材料は端材を使用し、製作は昼休憩を使って少しずつ進めていたので完成まで2か月程度掛かりました。
こうした自主制作や人材育成を通じてより精度の高い製品をお客様に納品出来るよう日々取り組んでいます。
なぜアルミの溶接に高い技術が求められるのか?
アルミ溶接の特徴は交流の電力を使った溶接をすることにあり、鉄やステンレスの溶接と電力の送り方が違います。
熱伝導率も良いので一か所を溶かしていてもその熱は全体に広がっていきます。溶接の途中から溶け方が変わり、大きさや板厚によってもコツやポイントが違うため、難易度が高く品質の高い製品となると対応出来る職人がなかなかいないのが現状です。
こうした理由から溶接では最新の設備だけでは対応出来ない依頼も数多く存在します。
広川熔工ではこうした技術や知識が途切れてしまわないように一人ひとりの技術力も大切にしています。
アルミ溶接のことなら私たちにお任せください
広川熔工では経験年数20年以上の熟練工が在籍し、ステンレスとアルミの溶接に加え、チタンの溶接にも対応しています。
中でもステンレス・厚板のアルミ溶接ではお客様から高い評価をいただいております。他社に断られてしまった…などの溶接も一度私たちにご相談ください。皆様からのご依頼を心よりお待ちしております。
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